歯科の「こんなの欲しかった」を、AIでつくる。
第9回|院内モニター用30秒動画の絵コンテをAIで作る
待合室のモニターで患者さんへ情報を伝えたいけれど、「何を何秒表示すればよいか分からない」「文章が多くなり、最後まで読めない」と感じることはありませんか。
動画制作では、編集ソフトを開く前に、画面の順番・表示時間・画面内の文字・必要な写真を整理しておくことが大切です。その設計図になるのが「絵コンテ」です。
今回は、生成AIを使って、音声なし・16:9・30秒の院内モニター動画を、6場面の絵コンテへ整理します。
そのままコピーできるプロンプトと、「定期検診・お口の確認のご案内」をテーマにしたA4完成見本も用意しました。
- 対象:歯科医院院長・歯科衛生士・受付・広報担当者・動画制作担当者
- 難易度:初心者向け
- 所要時間:約15~20分
- 対応AI:ChatGPT・Claude・Gemini
今回のお悩み
院内で伝えたい内容は決まっていても、文章をそのまま動画へ載せると、1画面の文字が多くなりがちです。
また、表示時間の合計が30秒を超えたり、写真・イラスト・動画の準備が編集開始後に必要になったりすると、制作に時間がかかります。
生成AIは、確認済みの文章を短い画面テキストへ直し、場面の順番、表示秒数、必要素材、簡単な動きへ整理する補助役として活用できます。
AIを使うと何ができる?
- 伝えたい内容を6場面程度へ分けられる
- 各場面の表示時間を合計30秒へそろえられる
- 画面の文字を短く読みやすくできる
- 写真・イラスト・アイコンなどの必要素材を洗い出せる
- フェードやズームなど、簡単な動きを提案できる
- Premiere Proなどで編集するときの作業順を整理できる
- 16:9動画から、縦型動画や静止画へ展開する案を作れる
大切な考え方
AIが作るのは、動画構成のたたき台です。診療時間、休診日、予約方法、医療情報などをAIに推測させません。診断、治療方針、投薬、医療判断、保険算定もAIだけで決めず、公開前に歯科医師・院内責任者・制作担当者が確認します。
そのまま使える完成プロンプト
以下のプロンプトをコピーし、【 】の部分を自院の内容へ書き換えてください。
「Copy」を押すと、プロンプト全文をコピーできます。
プロンプトの使い方
STEP 1 動画で伝えることを1つに絞る
「定期検診の案内」「休診日のお知らせ」など、30秒動画では1つのテーマに絞ります。複数の内容を詰め込むと、患者さんが読み切れません。
STEP 2 医院で確認済みの文章を用意する
診療時間、日付、予約方法、医療情報などを確認します。不明な情報はAIに作らせず、「医院確認」とします。
STEP 3 プロンプトをコピーする
「Copy」ボタンを押し、プロンプト全文をコピーします。
STEP 4 【 】へ自院の内容を入力する
対象者、目的、必ず表示する文字、使用できる素材、公開場所を書き加えます。患者さんを特定できる情報は入力しません。
STEP 5 生成AIへ貼り付ける
ChatGPT、Claude、Geminiなどの入力欄へ貼り付けて送信します。
STEP 6 6場面と合計時間を確認する
各場面の秒数を足し、合計30秒になっているか確認します。音声なしで画面だけを見ても、順番が理解できるかを確認します。
STEP 7 仮動画で文字の読みやすさを確認する
まず静止画を6枚並べた仮動画を作り、実際の院内モニターで再生します。離れた位置から文字を読めるか、1場面5秒で内容を理解できるかを確認します。
STEP 8 責任者が公開前確認を行う
医院情報、医療表現、個人情報、写真・音楽などの利用許諾を確認してから公開します。
実際に作るとこうなる
完成見本は、A4縦1枚に次の内容をまとめています。

- 0~5秒:お口の確認を思い出す導入
- 5~10秒:前回の受診時期を確認する案内
- 10~15秒:気になる点をメモする提案
- 15~20秒:予約時に伝える内容
- 20~25秒:症状がある場合の相談案内
- 25~30秒:予約・相談方法への導線
各場面に、画面内テキスト、使用する画像、簡単な動き、公開前の確認項目を付けています。
実際に使用する際は、医院名、予約方法、診療方針などを自院の正式な内容へ変更し、歯科医師・院内責任者・制作担当者が確認してからご活用ください。
| Before 伝えたい文章はあるが、場面の順番や表示秒数が決まらず編集を始められない。 | AI活用 確認済みの文章を、6場面・合計30秒の絵コンテへ整理する。 | After 必要素材と編集順が見え、静止画を並べるところから制作を始められる。 |
うまくいかない例と直し方
1画面の文字が多すぎる
見出しは1つ、補足は2行以内にします。詳しい説明は別動画や配布資料へ分け、「この動画で一番伝えたいこと」を1つに絞ります。
6場面の合計が30秒になっていない
絵コンテ表の表示時間を足し算します。「6場面を原則5秒ずつ、合計30秒へ修正してください」と追加します。
AIが診療時間や予約方法を作っている
推測された情報を削除し、「医院確認」へ置き換えます。日付や電話番号などは、公開直前にも公式情報と照合します。
動きが多く、落ち着いて読めない
1場面につき動きは1つに絞ります。フェードイン、ゆっくりしたズーム、横方向の切り替えなど、読みやすさを妨げない動きにします。
院内では問題ないが、SNS公開には適さない
院内用と公開用を分けます。Web・SNSへ掲載する動画は、医療広告、個人情報、写真・音楽・フォントの権利を改めて確認します。
もう一歩よくする追加指示プロンプト
1.50~70代にも読みやすくする
50~70代の患者さんが待合室で離れた位置から見る前提で、1画面の文字をさらに短くし、重要語を1つだけ大きく表示する構成へ直してください。
2.音声なしで伝わる構成にする
ナレーションや会話を使わず、画面内テキストと画像だけで意味が伝わるように、6場面の順番と表現を見直してください。
3.Premiere Proの編集指示を詳しくする
Premiere Pro初心者向けに、各場面で配置する素材、テキスト位置、フェード時間、拡大率の目安を、難しい専門用語を避けて追記してください。
4.静止画だけで作れる形にする
動画素材を使わず、写真・イラスト・アイコン・文字だけで作れる30秒スライドショーへ変更してください。1場面につき動きは1つまでにしてください。
5.Web・SNS転用版を作る
院内モニター用の内容を保ちながら、Web・SNSへ掲載する際に追加確認が必要な表現、素材、個人情報、医療広告上の注意を一覧にしてください。確認できない内容は断定しないでください。
ChatGPT・Claude・Geminiで使うときのポイント
今回のプロンプトは、ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIで使用できます。
- 最初は動画そのものではなく、文章の絵コンテを作る
- テーマ、対象者、秒数、画面比率を最初に伝える
- 医院で確認済みの文章だけを入力する
- 各場面の秒数を合計し、30秒になっているか確認する
- 患者さんやスタッフの個人情報・無許可の写真を入力しない
- AIが作った医療表現、医院情報、利用許諾を人が確認する
短い絵コンテのたたき台は、各サービスで文章を入力できる環境から試せます。動画・画像生成、ファイル読み込み、利用上限、料金、入力データの扱いは変更されることがあります。利用時点の各社公式情報を確認し、確認できない機能や料金は断定しないでください。
最初は文字だけで始めて大丈夫です
動画生成機能を使わなくても、6場面の絵コンテを作り、PowerPointやCanva、Premiere Proなどで静止画を順番に並べれば、院内モニター用動画の基本形を作れます。
まずは仮動画を院内モニターで再生し、文字の大きさと表示時間を確認してください。
個人情報・医療安全のお願い
入力しない情報
実在する患者さんの次の情報を生成AIへ入力しないでください。
- 氏名、イニシャル、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス
- 患者番号、診察券番号、予約履歴
- カルテ、病歴、服薬情報、治療内容
- 顔写真、口腔内写真、エックス線画像、検査結果
- 音声、動画、その他個人を特定できる素材
症例を扱う場合は、氏名を消すだけでなく、日時、年齢、治療内容、画像などの組み合わせから個人を特定できないよう十分に匿名化します。症例画像の使用可否は、院内責任者と専門家へ確認してください。
AIだけで診断、治療方針、投薬、医療判断、感染対策、保険算定を決定しないでください。医療・保険情報を扱う場合は、厚生労働省、管轄の地方厚生局、社会保険診療報酬支払基金、国保連合会、関係学会など、公開時点の最新一次情報を確認します。
専門家・担当者へ相談すべき境界
次の内容は、AIだけで判断せず、歯科医師、院内責任者、個人情報保護担当者、動画制作者、著作権・広告に詳しい専門家などへ相談します。
- 医療効果、治療内容、リスク、副作用を説明するとき
- 症例写真、患者さんやスタッフの写真・音声を使用するとき
- 動画をホームページ、SNS、広告へ転用するとき
- 他者が作った写真、イラスト、動画、音楽、フォントを使用するとき
- 緊急性のある症状や受診判断を案内するとき
- 料金、保険算定、自由診療の内容を表示するとき
- 診療時間・休診日・予約方法などの正式情報を変更するとき
また、ChatGPT・Claude・Geminiの機能、料金、利用上限、ファイル機能、入力データの扱いは変更されることがあります。利用時点の各社公式情報を確認してください。
次回予告
第10回は「歯科保険算定前の確認事項一覧をAIで作る」です。
AIに算定可否を決めさせず、診療内容、記録、施設基準、通知など、人が確認すべき項目を整理する方法をご紹介します。

